生物における「学習」とは

生物でいう「学習」は、日常的な学習とは少々意味が異なる。生後の経験によって獲得される行動様式のことを生物では「学習」とよぶ。従って、以下にあげるようなものが学習に含まれる。

イヌの口に餌が入ると唾液分泌が起こる。そこで餌を与える直前に犬にベルの音を聞かせると犬はやがてベルの音だけで唾液を分泌するようになる。このように本来の刺激(無条件刺激)によって引き起こされるある反応が、もともとそれとは無関係な刺激(条件刺激)と結びつく学習は古典的条件づけと呼ばれる。

個体の取った偶然の行動によって得られた何らかの報酬や罰を自身の行動と紐づけて学習することはオペラント条件付けと呼ばれる。例えば、レバーを押すと餌を得ることが出来る装置に空腹のネズミを入れ、偶然にレバーを押して餌を得るとネズミは積極的にレバーを押すようになる。

また、アヒルやかもなどのひなは、孵化後一定の短い期間に見た動くものの後をついて歩くようになることが知られている。この行動そのものは生得的であるが、何に追従するかは学習によって決まる。このような発育初期の限られた時間に、行動の対象を記憶し、それが長期にわたって記憶される学習は、刷り込み(インプリンティング)と呼ばれる。このように、生得的行動が学習と結びついた行動様式もある。